「2199のデスラーの襲撃を聞いてもあまり満足しないのに、ディスコアレンジのデスラーの襲撃を聞くと満足してしまうのはなぜだろう?」
「それは君の話だろう?」
「そう。あくまで自分の話。一般論では違う人も多いと思うよ」
「では問おう。2199のデスラーの襲撃はよりオリジナルのデスラーの襲撃に近いと思う。ディスコアレンジのデスラーの襲撃よりもね。なのに、なぜディスコアレンジなのだ?」
「だからそれを質問しているのはこちらの方なんだってばよ」
「あれ? 質問が空間磁力メッキで跳ね返ってきた」
「ともかく、無い知恵を絞って考えてみよう」
「音楽というよりも演出の問題かな」
「それはある。ヤマト2199のデスラーの襲撃は使い方があまり合ってない」
「どこにポイントがあると思う?」
「リズミカルなスピード感かな。さらば宇宙戦艦ヤマトにあって、ヤマト2199に無いものはそれかも」
「デスラー砲は速いし、ヤマトは亜高速で飛ぶよ」
「でもね。演出にスピード感は無いんだよ」
「というと?」
「さらば宇宙戦艦ヤマトには以下のようなスピード感がある」
- 入れ替わり襲撃する駆逐艦
- 素早く次々に上がってくる損害報告
「なるほど」
「だが、ヤマト2199のデスラー砲による襲撃にも亜空間での襲撃でも、どちらもそういうスピード感が無い」
「確かに、入れ替わり襲撃する敵は出てこないね。攻撃も1回限りで、次々上がってくる損害報告みたいな流れにはなっていないね」
「でも、リズミカルなスピード感は、ディスコアレンジにはあるわけだ」
「なるほど。それは1つの解釈だね」
「でも、それが正しいのか。それだけなのかは全く分からない」
そこから考えられるもの §
「実は宇宙戦艦ヤマトという作品は、リズム感が優れていた。特にさらば宇宙戦艦ヤマトからディスコアレンジに至る流れで、音楽のみならず演出も含めた意味でヤマト的なリズム感は完成されたと言って良い」
「でもディスコアレンジは歓迎されなかったよ」
「そうだ。ファンの感性を追い越してしまったからだ。あれは生まれてくるのが早すぎたんだ」
「ひ~」
「だからヤマト2以降は、少しリズム感を鈍らせている部分があると思うよ」
「その方がファンには歓迎されるのだね」
「問題はその先」
「どこ?」
「リズム感に優れるさらば宇宙戦艦的な要素を、ヤマト1974のリメイク的なヤマト2199にそのまま持ちこむと、どうしてもリズム感の噛み合わない部分が出てくる」
「そうか。デスラーの襲撃に代表される演出テンポが、そもそもヤマト1974的ストーリーと食い違ってしまうわけか」
「そう。ヤマト2199が間違ったというよりも、シリーズの先の要素を前倒して取り込むことで、もともと存在した合性の悪さを露呈させたと言った方が良いかもしれない」